全州(チョンジュ)(1)
2023年12月1日金曜日
私のパスポート、以前は出入国のスタンプでいっぱいだったのに、2018年の再発行後にコロナ禍となり真っ新の状態。今回やっとスタンプを押してもらえる~と思ったら、なんと今どきスタンプなんて押さないのですね。ぺたっと小さなシールが貼られただけ。通関も自動改札状態で簡便だけどそっけない、その大きな変化にすっかり時代遅れの人になった気分でした。
全州はソウルから南に230キロの全羅北道にあり、7世紀から歴史に登場する古い街です。韓国料理のビビンパプやもやしのクッパは全州が発祥の地で、美食の都とか。全州市内には昔の町並みを再現した韓屋村があり、韓国のお酒やキムチ、韓方茶などの食文化、紙や刺繍、扇子などの手工芸品、文学者や芸術家やソンビ(高潔な人柄の官僚)の文化を様々な形で見聞できるとのことで、街歩きが楽しみでした。
ソウルの空港から全州までは高速バスで約3時間半、片側5車線の広い高速道路を快適に走ります。仁川国際空港を出てから江南区あたりまでは、200mを超えるような超高層ビル群に目を奪われました。こんな大規模マンション、どれだけの世帯数があるんだろう。管理組合は絶対に合意ができないわね~なんてことを思いつつ。しかし郊外に出たら、全州までは田畑や牧草地の風景が続きました。
薄暗くなって全州のホテルにチェックイン、窓から見下ろしたのは夜の韓屋村でした。夕食は学会に参加する方たちと一緒に韓方ぺクス。朝鮮人参やナツメなどで鶏肉を煮た身体に良さそうな薬膳鍋でした。ずらりと並んだキムチやナムル、〆のお粥などいずれも身体にやさしく染みるような深い味わい、ほっとする美味しさでした。
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by kouribakokara
| 2023-12-01 21:09
| 旅
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武雄へ(2)
2023年11月22日水曜日
お聞きしたら、400年前の黒牟田焼とか。黒牟田焼??? 初耳でした。綺麗な形の大きな壺には大らかな松、昔の日用品はどうしてこうも美しいんだろうなぁと見入りました。黒牟田焼は陶器史では武雄唐津北部系に属し、近くの唐津焼や有田焼とは違う特徴を持つ焼物だそうです。かつてはたくさんあった窯も今は丸田宣政窯の一軒だけとのことで、すぐ訪ねてみることにしました。
武雄の中心街から車で15分ほど、山道を少しあがったところに丸田窯がありました。商品が並ぶ蔵の2階が丸田窯の古い作品の展示室になっており、伝統と作風を知ることができました。丸田窯でとくに印象に残ったのは辰砂の渋目の赤。これまで辰砂釉はあまり好みでなかったのですが、ここの渋い辰砂には惹かれ、いくつか買い求めてきました。
ところで、黒牟田焼との出会いのきっかけとなった宿ですが、チェックアウトのときに案内された玄関横の小部屋の壁に1枚の古い写真が掛けられていました。東南アジアのどこかの子どもが壁から半分顔をのぞかせて涙を流している写真・・・署名を見てはっとしました。1973年にアンコールワットで消息を絶った写真家、一ノ瀬泰三の写真。ネットで調べたら、一ノ瀬泰三は武雄の人だったのですね。今年は彼の没後50年。世界が忘れ去っていた人権侵害を写真で告発した彼が今の世界を観たらなんと言うだろう、そんなことを考えながら帰路につきました。
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by kouribakokara
| 2023-11-22 18:00
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武雄へ(1)
2023年11月17日金曜日
先週末に佐賀へ三泊の旅。夫は佐賀で半日の仕事がありましたが、以前から武雄市の農具専門の竹籠職人を訪ねようと話していたこともあり、この機会に二人で出かけることにしました。旅先で情報を仕入れては寄り道するのが常なので、やはり車で。いつもは山陽自動車道を使うのですが、9月に火災が起きた尼子山トンネルの復旧がまだのため、久しぶりに中国自動車道を使いました。実は私、以前は急カーブと急傾斜の区間が多い中国自動車道が苦手でした。ところが今回、十年ぶりくらいに走ってみたら、なんだか全然大丈夫。毎日カーブの山道を運転しているせいでしょう。トンネルの多い山陽道より、風景が楽しめる中国道がむしろ気持ちいいくらいでした。夫と交替でハンドルを握り、8時間半で佐賀に到着しました。 それから旅の一番の目的、武雄市西川登(にしかわのぼり)町へ。この町で古くから作られてきた竹細工の特徴は、一般的に使われる真竹ではなく淡竹(はちく)を使っていること。農作業用の道具のつくり手、池田孝雄さんのお店を訪ねてみたのですが、あいにく今は体調を崩されて制作されていないとか。息子さんが市内で池田さんの品を販売されているとお聞きし、そこでようやくこの大きな干しかご(直径90㎝)と箕(ショウケ)に出会うことができました。ショウケは作られてしばし年数が経つようで、すこし濃い色になっていました。どちらも編み目が細かくとても丈夫なつくりで、まさに日用の美。今後干しかごは野菜や梅を干すときに、ショウケはもみ殻や麦わらを運ぶなどに使いながら、竹の色艶の経年変化を楽しんでいきたいと思います。
武雄で訪ねたのは武雄温泉新館。大正時代に造られた近代的大衆浴場で、東京駅を設計した辰野金吾の建築です。赤色がアクセントの大きな楼門、凝ったタイル張りの浴場からは当時のお客さんの賑わいが想像できそうでした。
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by kouribakokara
| 2023-11-17 20:51
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暖かい立冬
2023年11月9日木曜日
パレスチナの情勢は悪化の一途、ウクライナやミャンマー、アフガニスタンのことはすっかり置き去りにされ、味方の囲い込みに懸命な大国の姿は子どものようで、なんとなくブログを書く気になれないまま立冬になりました。こんな変な陽気の立冬だって、もとはと言えば人が引き起こしているのだから、争いと欲望にまい進する人間はほんとに困った生物なのですね・・・。
そんななか我が家の十月桜がようやく開花を始めました。紅葉もぼちぼち始まり、庭ではシマカンギクやツワブキが鮮やかな黄色い花を咲かせています。今季は台風の直撃がなかったので百日草の花もまだ賑やか。ただ、気温が下がって霜が降りるまであと数日ほどの眺めです。
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by kouribakokara
| 2023-11-09 13:45
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秋を感じながら
2023年10月28日土曜日
とはいえ、庭の柚子は黄色くなって食べごろを迎えました。南天にからみついたムカゴも大きくなり、そろそろムカゴご飯の時。2週間前に仕込んだ柿酢の瓶は、満杯に詰めた柿がすっかり沈み込んでブクブクと発酵の泡がたってきました。このまま3カ月置いて漉せば自家製の柿酢ができる予定ですが、さてどうなるやら。
こうして五感で秋を味わっていると、遠い国々の争いの渦中で悲嘆や怒りに翻弄されている人たちのことを思って申し訳なくなることがあります。私と彼の地の人たちとの違いは何か・・・それはただの偶然、たまたまの運としか言えそうにありません。人道支援のルートが確実になってきたら、せめて私にできる支援をしたいと思うこの頃です。
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by kouribakokara
| 2023-10-28 10:23
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海外を転々とする生活が終わりました。行李箱(中国語でスーツケース)で運んだ数々のものたちとともに暮らす日本での生活をつづります。
by kouribakokara
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メモ帳
http://movies.nytimes.com/2011/03/18/movies/the-gift-to-stalin-story-of-a-jewish-boy-review.html
「The Gift to Stalin」
旧ソ連体制時代のカザフスタンの片田舎での出来事を描いた映画。背景に映し出されるステップの四季がとてもきれい。