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キルギスタン(5) 雨の遺跡

2012年11月21日水曜日

キルギスタン(5) 雨の遺跡_a0238314_1038524.jpg旅の最終日、ビシュケクから再び陸路でアルマティに戻る途中、2つの遺跡を訪ねました。まずはブラナの塔。ビシュケクから幹線道路を1時間ほど東へ。その後、横道にそれて小さな村を通過します。しばらくして家も人の姿もなくなった頃、遠くに見えてきたのがブラナの塔。10~13世紀のカラ・ハン朝の首都ベラサグンの遺跡です。雪になりそうな冷たい雨の中、すこし傾いたレンガの塔はとても美しい姿でした。塔の中には1人がようやく通れるほどの狭い階段があり、最上部まで登ることができます。数百年前の地震で崩壊した塔の今の高さは24m。本来はこの2倍近くあったそうです。かつてはどんな街並みを見下ろすことができたのでしょうか。傍らの小さな博物館には、イスラム教・キリスト教・仏教の影響がそれぞれにわかる石碑や陶片が展示されていました。今は風が吹き渡るだけの何もない大地ですが、ここがかつて文明の交差点として栄えていたことをはっきりと物語っていました。
次にむかったのがトクマクという村はずれにあるアク・ベシム遺跡。7世紀に玄奘三蔵が立ち寄ったという突厥のスイアブ城跡です。途中に表示もすれ違う人もなく、遺跡に行き着けるのかどうか怪しい雰囲気でしたが、道なき道を四輪駆動車で進むうち、行く手にこんもりとした小山が見えて来ました。そばに車を止めて、雨でつるつるとすべる泥の山を上がってみると、そこに遺跡らしき側溝がありました。発掘はまだ途中なのでしょうか。遺跡は特に保護されている様子もなく、容赦なく雨に打たれて泥の壁が崩れかけていました。この遺跡、私が今回もっとも行きたかった場所でした。気の遠くなるような長距離を歩いて旅した三蔵法師のスピリットに敬服しつつ、泥だらけの私は何かしら心を揺さぶられたままキルギスタンを後にしました。
by kouribakokara | 2012-11-21 11:22 | | Comments(2)
Commented by CK at 2012-11-22 09:37 x
バベルの塔、ピサの斜塔の様にも見えます。それにしても平原を走ったり山に登ったり毎日休み無く動き続けているYKさんの体力とバイタリティーには驚くばかりです。
Commented by kouribakokara at 2012-11-22 11:19
再訪することはないかもと思うと、つい。それにシルクロードに居ると思うだけで、エネルギーが沸いてしまうようです。「キルギスタンってたいして見るものはないよ」と周囲の人に言われて行ったんですが、どうして、どうして。たくさんの魅力を見つけました。


海外を転々とする生活が終わりました。行李箱(中国語でスーツケース)で運んだ数々のものたちとともに暮らす日本での生活をつづります。


by kouribakokara

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