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競らない競り(せり)

2014年4月28日月曜日

競らない競り(せり)_a0238314_1145126.jpg
50代半ばにして人生初めての「競り」なるものをやってみました。ネットのオークションサイトです。
以前から菓子椀が欲しかったのですが、デパートの漆器コーナーや個別の店舗を覗くうちにはっきりしたのは、つややかな新品に欲しいものがないということ。それで次に骨董屋や骨董市に出かけて気付いたのは、探しているのは繊細な沈金細工がほどこされたり古美術的価値のあるお椀ではないということ。年月を経た味わいと生活感があって、はかなくない感じのお椀はないか・・・。
望みが高すぎるのか低すぎるのか、そんなお椀に出会えないままだったある日のこと、偶然に探し当てたのがオークションサイトでした。年代・価格・品質ともに多様な漆器のお椀が満載なのです。来る日も来る日も頭痛がするほど目を皿にして眺めていたら、ついに気になる明治期の菓子椀を見つけました。沈金細工なし、箱なし。素朴すぎるほどの菓子椀5客の最低入札価格は2000円、競り終了までの時間は残り2日。ま、やってみますか・・・最低価格で入札してみました。時々サイトを覗くと、いつまでも入札者は私ひとり。他を見ると、2日間で入札者が40人近く、価格もうなぎ上りというお椀もありました。そうなると、私が入札したお椀の良さをだれかわかってくれないか、ちょっとくらいは競ってみたい、などど思ったりしました。
競り終了後、PCに「おめでとうございます! あなたが落札しました」というメールが来ました。結局のところ入札者は私だけ、落札価格は2000円のまま。私の初競りはいともあっけなく終わりました。「競らない競り」で落札した菓子椀は兵庫県の豊岡から我が家にやってきて、私の熱烈歓迎を受けています。
by kouribakokara | 2014-04-28 12:14 | Comments(0)


海外を転々とする生活が終わりました。行李箱(中国語でスーツケース)で運んだ数々のものたちとともに暮らす日本での生活をつづります。


by kouribakokara

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