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六道絵

2018年11月29日木曜日

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私は若い頃、西洋の宗教画や日本の古い仏教画に興味がありませんでした。西洋の宗教画に目を向けたのは、カザフスタンのロシア正教会でイコンを目にしてから。その後も東西ヨーロッパを旅してギリシア正教会やカトリックの教会、その土地の美術館や博物館を訪ねて大量の宗教画を眺めているうち、絵画として鑑賞するのではなく、その絵が何を伝えようとして描かれたかを想像するようになりました。
こんな話になったのも、11月に中ノ島の香雪美術館で曼荼羅や「六道絵」を、そして広島の県立美術館でブリューゲル展を観てはっとすることがあったからです。国も文化も違うのにアートにはある種の似通った役割があった、その役割とは読み書きを知らず学校に行くこともない一般民衆にこの世での生き方と信仰を説くための「わかりやすい図解」を示すことだった、ということ。だからイコンの前で、私もふと思ったのですね。この絵、なにを言いたいんだろう・・・と。
六道絵の六道とは地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天のことで、人は生前の行いに応じて死後にこの6世界のどこかを巡るという仏教の考えです。六道絵には微に入り細に入り凄惨な場面が描かれていて、それを目にした人々はそんな恐ろしいことにならないよう正しく生きようと思ったのでしょう。難しい説法より視覚に訴える布教のツールでもあったわけです。初代ブリューゲルの描いた戦いや聖書に基づく絵も、ある種の「六道絵」のようです。そういえば、若い頃に留学したシンガポールで「趣味が悪くてヘンな場所だ」と驚いたタイガーバーム・ガーデンのあの極彩色に塗られた人形たちも、実は立体の六道絵だったのかと思いいたりました。 長く生きていて、やっと気づくことがあるもんです。もう一度、タイガーバーム・ガーデンに行ってみたくなりました。

by kouribakokara | 2018-11-30 16:33 | Comments(0)


海外を転々とする生活が終わりました。行李箱(中国語でスーツケース)で運んだ数々のものたちとともに暮らす日本での生活をつづります。


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http://movies.nytimes.com/2011/03/18/movies/the-gift-to-stalin-story-of-a-jewish-boy-review.html

「The Gift to Stalin」
旧ソ連体制時代のカザフスタンの片田舎での出来事を描いた映画。背景に映し出されるステップの四季がとてもきれい。

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